防火対象物点検

防火対象物点検は、消防法に基づき、建物の所有者・管理者に義務付けられた「防火管理体制」と「避難環境」を毎年チェックする制度です。
火災発生時に設備が確実に作動すること(消防設備点検)はもちろん、火災を未然に防ぎ、万が一の際に利用者が安全に避難できる体制が整っているかを、専門の資格者が確認します。

この点検は、消火器などの設備そのものの機能ではなく、建物全体の運用・管理状況が法令に適合しているかをチェックします。

防火対象物点検項目

*防火管理体制

・・・防火管理者の選任、消防計画書の作成・届出、消防訓練の実施

*避難経路の確保

・・・避難階段・通路や防火戸周辺の安全性、誘導灯・非常照明の維持管理

*防炎性能

・・・カーテン・じゅうたん等の防炎マークの表示、

*消防設備等の設置

・・・義務基準に基づいた、必要な消防設備の設置

点検義務の対象となる施設

以下のいずれかの条件に該当する特定防火対象物の所有者・管理者は、防火対象物点検資格者に点検させ、その結果を所轄の消防署長に報告する義務があります。

収容人員による基準(大規模な建物)

特定防火対象物で、収容人員が300人以上の建物は用途に関係なく、建物全体が点検報告義務の対象となります。

特定防火対象物の例

・・・劇場、映画館、百貨店、ホテル、病院など不特定多数の人が利用する建物や、避難が困難な人が利用する施設。

構造・階段による基準(小規模な雑居ビル等)

特定防火対象物で、以下のすべての条件に該当する建物が対象となります。
①収容人員が30人以上(福祉施設等は10人以上)300人未満。
②特定用途部分(飲食店、店舗、ホテルなど)が地階または3階以上に存在する。
③当該階から避難階(通常、地上1階)へ通じる屋内階段が1系統のみである。

報告義務が免除される「特例認定」について

点検の結果、過去3年間継続して法令に適合していることが認められ、所轄消防署長等の検査を受けて特例認定を受けた建物は、申請により3年間点検・報告の義務が免除されます。
この特例認定を受けた建物には、「点検済証」に代わり、「優良防火対象物認定証(通称:優良マーク、旧適マーク)」を表示できます。